自転車と造形美

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自転車と造形美

現在の自転車の形が完成したのはいつのころでしょうか。 本やHPを紐解いて調べればどこかに記載されていることかと思われますが、ここではそれを追求しようとするものではありません。

これまでに何台かの自転車を乗り継いできました。 ランドナーもあれば、ロードやMTBもあります。 それぞれに目的に向かったキレイな形をしていると思います。 最近のお気に入りは、やはりロードです。 もう決まりきった前三角と後三角で構成された形ではありますが、各メーカ共に競って美しい形状を構築しています。

先日、東京サイクルモードに行ったときにも、その美しさにはほれぼれとするものもあります。 どうしても、アメリカの自転車よりも欧州の自転車の方が美しくキレイに見えてくるのは私だけでしょうか。 アメリカンバイクのトレック、キャノンデールやスペシャについては、キレイではあるが、ソツもなく優等生過ぎる。 合理的な自転車だなと感じることが多いのはこれらのバイクです。 一方、ヨーロッパメーカについては、カラーリングが美しく、きらびやかなイメージがあります。 コルナゴにしてもオペラやピナレロ、デローザにしても、とにかく美しい曲線美と直線美を取り混ぜ、そこにさらっとカラーリングがほどこされている。 これまでの実績に基づく挑戦というか冒険というか、そんなものを感じられます。 美しく、華があるといった表現がピッタリではないでしょうか。

私がトレック5500を購入したときも、アメリカの実直なイメージがトレックに表れていて、その無垢のカラーリングと表情に惚れました。 乗ってみれば、そのまま踏力が推進力に変換され、硬くウィップの少ないBB辺りからその剛性を感じたものです。 極太のフレームに力強さを感じ、迫力さえ感じられました。 またパイプの接合部分にはグラマラスな印象を覚え、そのシルエットには女性的な滑らかさを感じました。そして、なんの変哲もない、スッキリとしたモノステイ。 非常に単純な形状をしていますが、これが極太パイプとマッチしていて、リヤビューを引き立てていたのではないでしょうか。 本当に良く走る自転車だと感じたものです。

次に乗り換えたC40、これもまた名車でした。 カーボン地に赤をベースとしたカラーリングが施され、速さよりも優雅さをイメージしているように感じられました。 しかし、数々のレースで実績を挙げてきたバイクですから、中身は完全なる戦闘機です。 トレックに比べてクイックな取り回し、塗装の美しさ、そしてコルナゴ小僧がトップチューブでガッツポーズ。 Bステイからリアエンドに向けたシートステイの曲線美は、見ているだけで心が躍ります。 エンド間近では極端に細くなったシートステイにも魅力を感じます。 このモデルの翌年にHPタイプのチェーンステイモデルが出たのですが、あれは自分の中ではどうも美しいとは感じられませんでした。 優雅なイメージを払拭してしまうような気がします。

C40を買ったばかりの頃の1週間は、その美しさにもったいなくて乗れませんでした。 わざわざ乗らずとも、それを見ているだけで楽しめたのです。 部屋の照明に照らし出された自転車は、ピカピカと輝きを放ち、それを眺めながら洋酒を舐めているのが最高の時間でした。 ときおり、ホイールを回してそのラチェットの音に心躍らしてみたりと、それだけで飽きることはありません。 自転車の美しさとは、こんなものではないでしょうか。 買ってから数年たった今でも、寝室へ向かうホールに置いてあるC40は、ピカピカに光を放ち、次はどこに走りに行こうか?と私を誘っているようです。 本当に自転車の美しさから離れることができません。

コルナゴも今ではC59が最新モデルとなったようです。 私のC40もそろそろ10年。 次はどこの、どんなモデルにしようかと、頭の中をよぎることが多くなってきました。 最近のモデルは、合理的な空力対策から、どこもトップチューブからシート周りが同じような形状になってきており、なんとなく気を惹かれるものがないように感じます。 もうしばらくC40で楽しく走り続けようかなとも思う。

 

 

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