自転車と峠

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自転車と峠

あなたは峠に吹く風を知っていますか。 火照った身体を優しく包み込んでくれる心地良い風です。

かつて有名なアルピニストが、「そこに山があるから山に登る云々」と言っていたことは有名な話です。 自転車乗りの世界でも、「そこに峠があるから」とでも言うのでしょうか。 日本全国どこに行っても、坂はあるし、山はある。 坂を上って上り詰めれば、そこに存在するものが峠です。 これまでに上ってきた道を振り返るのも良し、これから行く先に思いを馳せるも良しです。

かつてツーリングが全盛だった時代に、峠越えやパスハンティングという言葉にも表されるように、峠と言えば1つの目的地であり、ツーリングの中の大きなウェイトを占めるものでした。 ツーリングのコースを設定する上でも、峠をいくつクリアするか、どんな峠に行きたいかということに重点をおいて検討していました。 当時はサイスポでも、夏の特集として峠を題材にした企画も多く、高低差、距離はたまた展望等で順位付けられ、こぞって峠を目指したものです。 このため、峠に対する郷愁は深く、峠での滞在時間も長く、コーヒーを淹れたり、風景を眺めたりと、そこにはゆったりとした時間が流れていました。 自転車のタイプもランドナーや、それを改造したパスハンターと呼ばれていた山道でも担ぎやすい自転車を使っては、峠道を走っていました。 訪れる峠と言えば、遠くいにしえの峠と呼ばれるような旧国境にあるものから、一般国道で越えるもの、山道で越えるもの、いろいろとあります。 また、全く展望も開けず、うっそうとした森の中の峠の祠など、昔の往来を偲ばせるものもあります。 峠に続く道でペダルをひと踏みする毎に、峠への思いは深まり、そして峠に到着したときに、その達成感、征服感を得ることができたのです。

これが今では、林道や山道であればマウンテンバイクで、舗装路であればロードレーサーで走るようになり、峠に対する感覚もガラッと変わってしまいました。 しかも、山道はシングルトラックと呼ばれるようになり、全く違うものになってしまったのです。それは、単純に自転車が変わっただけではなく、自分の体力も向上して高速化が進んできたことも1つの要因でしょう。 峠に到着するまでの時間が短くなるほど、峠での滞在時間も短くなってきているように感じます。 峠を単なる通過点としか捉えないようになってきているのではないでしょうか。 これまで苦労して半日もかかって辿り着いた峠では、お茶を沸かして昼食をゆっくりと取り、下りでは写真を撮りながらゆっくりと・・・といったのがツーリングのパターンでした。 それが、走行速度が上がったため、峠までに半日もかからなくなり、 峠でゆっくりしていると身体も冷えるので行動食を口にするとそのまま下り始めて、戻ったところでゆっくりと昼食、と言った形に変化してしまいました。 どっちが良い、どっちが悪いとか、そんなことを言うつもりはありませんし、どちらも自転車を楽しむ方法だと思います。 いずれにしろ、峠までは自分の脚で自分の力で進まなければなりません。 その行程には、楽をして登ることよりも、苦労して自分の足で登ろうという共通の目的があるのだから十分に共感できるのではないでしょか。

峠で一休みした後は、気持ちの良い下りが待っています。 ひたすら苦労して蓄えた位置エネルギーを運動エネルギーに換え、テクニカルなスリリングな下りをこなしていくのです。 この醍醐味が自転車のもうひとつの魅力ではないでしょうか。 ロードであれ、MTBであれ、はたまたランドナーであれ、上りあれば下りもある。 お互い気をつけて楽しく下って行きたいものです。

 

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