自転車と常陸の国

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自転車と常陸の国

私は千葉県の出身だが、就職と同時に茨城に住むことになった。 90年代初めのころである。 会社に入ると学生の頃のように自由な時間がなかなかとれず、長期間の休みも確保することができなくなったため、長期間のツーリングは不可能になった。 このため、始めたのが日帰りまたは一泊でのレースやツーリングであった。 自転車に対する欲求不満を満足させるために、1日の中身を充実させようと走りはハードにキャンプもハードに酒を飲むと言った、社会人としては無謀なことをやっていた。 ま、若く体力もあったので、月曜日の仕事が辛いとも感じたことはなかった。 走る時は、就職と共に地方へ散った友人を信州の山中に集合させて走ったものだが、そう毎週も続かない。 そんなわけで、近所の山を開拓しようと五万図片手に常陸の山に入ったのだ。

初めて入った山は高鈴山を中心としたハイキングコースである。 当時自分はフリークライミングもやっていたので、この先の御岩山のハイキングコースは知っており、その周辺を自転車で攻められないかと、ザイルの代わりに自転車を担いで山に入ったのだ。 最初はR349側から頂上を攻め、次にR6側からも攻め、何本かの頂上までの道を探ることができた。 この後は縦走を試みた。 すると高鈴山から神峰山までなんとか走れるではないか。と当時思ったのである。 少々手を加えれば、しっかりと走ることができる。 走行中に邪魔になる倒木や岩を少しずつどかしながら、コースを作ってみた。 基本的にハイキングコースが整っており、大きな段差や階段はないし、自分もそこそこ走れたので、手入れは最小範囲で済ますことができた。 これで、高鈴-神峰コースの完成である。 何度も走っているうちに、コースも均され、走りやすくなってきた。 ときおり、自転車のタイヤの跡らしきものも見かけるが、集団ではなさそうであった。 ちまたでは、MTBが流行り出し、奥多摩方面では自転車禁止区域まで出来たらしいが、ここ常陸にはMTBはいないのか? それとも、そんな文化が根付かないのか? 何度走りに行っても自転車で走る人を見かけることはなかった。 ほとんど毎週のように通って走っていたし、時には2周したこともある。 それでも、自転車に会うことはなかったのだ。

そんな矢先、R6を回走して車に向かって走っていると、新たなショップを発見した。 それが、バイシクルパークO2である。 店長は気さくで話しやすく誠実な人だったので、自分が走ってきたコースを紹介したり、相手の持っている情報をもらったりと、情報交換したものだ。 その頃から、ショップ伝いになのか山中で自転車を見かけるようになってきた。 自分も何回か人を連れて走ったこともある。 そうやって、自転車文化がMTBが常陸の山にも入り込んだのであろうか。 速い人は速く、遅い人はそれなりに、自転車を楽しむ方法を見出してきたのでしょう。

そんなころだったろうか、常陸太田にMTB常設コースを作る話が沸き起こっていた。 コースレイアウト等を教えてもらうと、さっそく走りに行ってみた。 まだ完成段階にはなく、単なるハイキングコースに毛が生えたような状態だ。 当時はまだ九十九折れもなく、その脇の長い階段をガシガシと駆け下りて走っていた。 常陸の山にも飽きてきた頃だったので、ここの新しいコースにも良く通うようになった。 走っていくうちに下草も生えなくなり、自分のラインが出来上がってきた。 コースを作ろうとしている某氏とも、あそこはこうで、ここはこうしたら面白そう・・なんて話もしてたかなぁ。 毎週通ってたから、田んぼの脇のコースでは、農家の人に顔を覚えられるまでになり、一緒に話しまでしたことがあったっけ。 そんなにまで通いつめたコースだけに思い入れも出てきたのかもしれない。

そこに人を集めてレースをしようと最初に言い出したのが自分だった。 バイシクルパークO2に集まる客を集めて、今まで自分が参加してきたレースのウンチクを適当にミックスさせて、「第1回O2カップ」を開催したのである。 当時はショップに集まる人の中には、自転車を始めたばかりの人や発展途上の人が多く、興味本位で参加する人ばかり。 当然、最速ラップは自分が頂き、トップ賞。 なにせ、一番走っていた頃だし、ヤル気もあったからこそ、レースを企画したのである。 そして自転車の楽しみ方のひとつをまた教えてみたかったのだ。 そうやってできたコースが「常陸太田故郷の森MTBコース」である。 今ではすっかり人気レースとなった「うっかり八衛兵カップ」が開催される定番スポットとなり、レース以外でも利用者はあるようだ。

ここ常陸の国もこの10数年で大きく自転車文化が根付いたように感じる。 全国的に健康志向、自転車ブームの波、そんなものも重なって、浸透してきたのだろう。 ショップの役割も大きいと思う。 今でも時々、常陸の山を走ることがあるが、若い人たちがショップ一行に連れられて汗しているのを見るとなんだかうれしくなる。 自転車がやっと普通に見られるようになって来た。 自分の走ってきた道は間違っていなかったのだと思える瞬間である。

あとは後世にも残せるように、山を荒らしたりすることなく、大切に使って行って欲しいものだ。

 

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