坂バカな日々

坂バカな日々

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名称 坂バカな日々
日程 平成23年10月10日〜16日
天気 晴れも雨も  
結果 楽しい日々を送れました〜

きっかけ

かなり遅い夏休みのつもりで特別休暇が会社より付与された。 これをどうやって使ったもんだかな〜と考えていた時に自転車仲間と酒を飲む機会があった。 相棒の言うには…

「そんなにヒマだったら毎日ヒルクライムでもしてたら?」

「う〜ん…」

そんなわけで決まってしまったこの企画。 題して「坂バカ日記」 かなりバカっぽい。 でも、本人はそりゃ真剣に真面目に走りましたよ。 だって、真剣に走らないと登れませんからね…

長野県に行けば名うてのヒルクライムコースはいくらでもある。 これを毎日登ってれば楽しいんじゃないのか。 景色も良いし、紅葉もキレイかも… そんな不純な動機で、会社からの特別休暇をダラっと使いきってしまった。

 

初日(10月11日)

前日21時ころに家を出るとひたすら車で移動。 高速出口前のPAでちょうど23時50分。 トイレ休憩をするとちょうど0時を過ぎ、高速道路も深夜料金帯に入る。 高速を抜けると真っ暗な国道を走り、目的の駐車場に着く。

ごそごそと寝袋をひろげ、下半身を突っ込み、ビールを飲む。 んん〜 うまい。 疲れも手伝ってあっという間に夢の中…

外の明るさで目が覚め車の外に出ると、正面には大きくそびえ立つ富士。 風のない湖面にはキレイな逆さ富士が映っている。 なんとすがすがしい朝だ。

そう、ここは山中湖の湖畔駐車場。 前にも車中泊はしたことがあるが、朝日を浴びた赤富士がキレイに見えるので有名だ。 写真オヤジもたくさん車から這い出して写真を取っている。 その脇で私は朝食を… コーヒーを沸かし、優雅な気分で朝食を済ませる。

今日の目的は富士スバルライン。 もちろん富士ヒルクライムの舞台だ。 若いころはMTBを駆って5合目まで走り、そのまま担いで頂上へ。 そして、駿河湾までのダウンヒルを楽しんだものだ。 それ以来のスバルライン。 20年近く走ってない。

北麓公園まで車で移動して、ここに車を停めて自転車で走る。 管理人さんに一言声をかけたら、快く了承してくれた。 あとは準備してスタートするだけだ。

 

走り出すと当然のことだけど、いきなり登りから始まる。 スバルラインの料金所まではダラダラと走りお金を払うと本格的にスタートだ。

平日の早朝と言うこともあって車は少ない。 快適に走れるのは助かる。

「スバルラインってこんな道だったっけ?」

緩い勾配が一定のペースでダラダラ続くと言うイメージだったが、ところどころ勾配が変わるのでペースが乱れる。 でも、きつくて足を着くようなことはない… って当たり前か〜  その昔学生の頃には、「スバルラインに足を着かないこと!」なんて目標を立てていたこともあったくらいだ。 それに比べたらかなり快調だろう。

林の中を走っていたのが、少しずつ樹林帯を抜けて行くと展望も良くなる。 眼下には精進湖や本栖湖、河口湖も見えてくる。 さらに遠景では南アルプスや八ヶ岳もうっすらと見えてくる。 レースしてるわけでも、個人タイムトライアルをやってるわけでもないので、展望を楽しみながら登って行く。 独立峰特有の気持ちの良い高度感がある。 やっぱり山は楽しい。 キレイな景色は下りの余裕のあるときに写真を撮ることにして、とりあえず登りは休憩せずに走ることにした。

5合目間近で勾配が緩くなるころには、風が抜け、一気に身体を冷やし始める。 ラストスパート区間は追い風でびゅんびゅんスピードが出る。 そのままその勢いで最後の登りを登りきってゴール。 所要時間は料金所から1時間30分を切るくらい。 ここのレースには出たことがないので、スタートゴールの位置が分からないけど、ま、そんなもんでした。

5合目は、それなりに人や観光バスもあるが、平日だけあってかなり静かだ。 ベンチで食料を補給し写真を撮ると下りの準備。 身体も冷えてきたので、早く暖かいところに下りたい。

下りは快適。 なにせ車もバイクも自転車も少ない。 途中途中で止まっては写真を撮るけど、「あっ!」と思ってもスピードが速くてキレイと思った景色は既に後方に… 少し登り帰して写真撮影… こんな感じで下った。 やはり、上りでキレイだと思ったときに撮らなければダメだと反省。

ところが最後の最後で撮影中にバスに抜かれてしまったため、その後はバスの後塵を耐え忍ぶことに… 追い付いてきたバイクも抜くに抜けず、一緒に並走しながら機会を伺う。 …とした瞬間に、短い直線でバイクはバスを抜き去り先へ行ってしまった。 そんな一瞬の加速性のない自転車は料金所までゆっくりと付き添うことに。 

 

車に戻ると自転車を撤収し、移動の準備。 着替えでTシャツ1枚になってもポカポカと暖かい。 5合目とは天と地くらいの差がある。

富士山を背に、次の目的地へと向かう。 途中、御坂峠の旧道を通った。 ここも懐かしかった。 学生の頃、輪行して良く走っていた場所だ。 峠の茶屋も昔のままだし、トンネルも真っ暗でちょっと怖い。 昔に戻ったような感覚で楽しかった。

それから国道20号を延々と長野県に向かったのである。

 

18時ころに目的の駐車場に到着し、すぐ近くの立ち寄り温泉に入ると、車に戻ってビールだ。 とっても月がきれいで、眺めていても飽きることがない。 スバルラインと運転の疲れもあり、ビールがとても心地良く身体に染み渡る。 スーパーで買ってきた総菜をアテにすっかり酔ってしまった。 半身寝袋に入りつつ飲んでいると、あっという間に夢の中に引きずられてしまった。

 

二日目(10月12日)

起きると抜けるような青空が広がっている。 同じ青でも昨日より青が濃い。 とても深い青空。 標高も高く気温も低いので身がキリっと引き締まる。 駐車場から見上げると、これから走ろうとしているコースが遥か彼方に小さく見える。 双眼鏡で覗いてもまだまだ遠くに見える。

ここは乗鞍高原の駐車場。 乗鞍マウンテンサイクリングの集合地点だ。 乗鞍ヒルクライムがここまで人気になる前に10回以上は出場していたが、抽選方式になってからは一度も出ていない。 乗鞍人気に押しだされた形だ。 しばらくぶりにこのコースを走ってみる気になった。 その昔若いころは2本連続で上ったり、MTBで乗鞍山頂まで行ったりもしたもんだ。 過去の自分の最高記録は1時間13分。 この記録からどれほどまでに落ちぶれているのか、冷静な現状把握をしようとやってきた。

スタート地点では既にそよ風が流れている。 風向きはどうだかわからないがゴール近くではかなりの風が予想される。 気温も低く寒そうだ。 駐車所ではこれから走ると言う自転車乗りは他に2人。 気軽に会話を交えながらこれからの予定を話す。 他の二人は、バスターミナルに自転車を置いて歩いて頂上まで行く予定らしい。 皆、自分の楽しみを満喫しようとしている。

さて、こっちも準備が完了しスタートだ。 ガシガシと平地を走りだし、左コーナを過ぎて上り始めるといきなり工事中。 信号は青だったので止まることはなかったが、路面の段差にひと苦労。 出鼻くじきだ。 そして、ひたすら上り始める。 このへんの標高はちょうど紅葉がキレイな感じか。 黄色い葉が眩しい。 勾配もきつくはなく、快適なサイクリングといったところか。 鈴蘭から休暇村にかけて上ると勾配もやや緩くなる。 しかし、ここで頑張る。 ここから更にぐんぐんと上って行く。 林の中のワインディングを抜け、勾配が緩くなると三本滝だ。 ここで25分くらい。 一般車両はここから先は通行止め。 バスかタクシーで乗り入れるしかない。

警備員のオジサンに挨拶をすると、

「上はスゴイ風だど〜 気いつけろよ〜 」

 

ここから上りが本格的になる。 スキー場のゲレンデを右に左にと上り始めると、眼下に乗鞍高原が広がる。 紅葉がキレイに広がる。 しかし、今日は前日の富士山よりちょっと真面目に走ってみようとしているので先を急ぐ。 走るほどに勾配がきつくなる。 そうそう、かつて滑り止めの輪が刻まれたコンクリート舗装は既になく、キレイなアスファルトになっているのには感動した。 長い時間の経過を感じざるを得ない。 そして、中間地点。 このペースだと1時間半かな〜と思いつつ走る。

とは言いつつもやっぱり辛い。 走り始めて1時間が経過した時、自分がいる位置を知るとかなりショックだった。 まだ冷泉小屋かよ! そして1時間13分。 自分の最高記録時点ではまだまだ森林限界に出てない… 涙…

一方、標高が上がるに連れて景色は広がってくる。 目の前には槍穂連峰が大きくそびえてきた。 奥穂から前穂への吊尾根、天を指す槍、なんとキレイな山だ。 こんな景色も何年振りだろう。 感動一入だが森林限界を超え始めると強風に襲われ一気に身体が冷やされる。 分かってはいるが、残りは風との戦いだ。

ずっと向い風が続く。 もうヘロヘロで止りそうだ。 自分がどれほど遅くなったのかは良く分かったけど、やっぱり最後まで行かないことには話にならない。 長い向い風の道が続く。 あの先が県境、ゴール地点だと分かってはいるが、なかなかたどりつかない。 最後の力を振り絞って、ようやくゴール。 1時間40分くらい。

それから今まで行ったことのないバスターミナルまで降りて行って、自転車の人と再会して話をしたり、しばし休憩。 やっぱり自転車は楽しいなぁと思いながら、空を見て山を見て時間を過ごした。

 

そして下りは最高。 寒いけど風は強いけど、ゆっくりと下って写真を撮って、景色を楽しんで… バスに会うこともなく完全にマイペースで下れた。 何度も写真撮影で停まって、そのたび同じタクシーに抜かれたりしたけど、自転車が追いつくと必ず先に譲ってくれた。 とても気持ちの良い下りでした。

駐車場に戻ると暑くて暑くて… 半そでで十分な気候でした。

 

そして、自転車を撤収して移動の準備です。

延々とトンネルを通って下界に向かって下って行きます。

街に出るとコインランドリーで洗濯。 食料を確保して次のポイントへ。

 

 

三日目(10月13日)

昨夜も疲れて早く眠ってしまったので、今日も早起きだ。

外を見ると朝焼けに染まった白馬山系が見える。 とてもキレイだ。 今日も快晴、気持ち良い日が続く。 

 

ここは白馬の街外れにあるロードパーク。 街中からちょっと離れたところで静かな夜を過ごすことができた。 準備を始めるといざスタートだ。 おっとその前に昨日洗濯したレーパンを干して行こう。 車内にロープを張って洗濯モノをぶら下げる。

 

白馬の街中を抜け、岩岳スキー場へ。 かつてはジョントマックやネッドオーバーエンドも来たMTBの聖地である。 しかし寂しいことに今はその面影もない。 ちょっとさびれた感じのスキー場だ。 さらに村道を北上していくと栂池スキー場に到着だ。

今日の目的は栂池ヒルクライム。 スタートはスキー場よりもっと下らしいけど、白馬から走ってこれば、それなりに標高は稼いでいるでしょう。 そして、ペンション街の間の道を上り始めるのだが、これがなかなかキツイ。 10%は下らないだろうと言うような急坂。 こんなところをスキー客が車で来るの?って感じの道だ。 そこを数100mほど直登する。 するとリフト乗り場を見渡せる作業道の入口に出る。 ここは鎖でゲートが閉まっている。

前日に観光協会に問い合わせると、「排ガスによる環境破壊を目的に通行止めにしているものなので、排ガスを出さない自転車ならダメとは言えないかもしれません…」と今一つ歯切れが悪い。 積極的にダメとも良いとも言わないかなりグレーなのかもしれないけど、行っても良さそうだ。

ゲート前はちょうど工事車両が通過していたので、話を聞けば、「ま、いんじゃないの」と言う答え。

と言うことで再度スタートを切った。

作業道なのでキレイな舗装ではないが走るには十分だ。 勾配もそんなにきつくはない。 気持ち良く走り始める。 ところどころ「クマ出没注意」の看板があるが、そんなに気にしないで走る。 でも、どんどん木が生い茂ってきてなんだか不気味な雰囲気もある。 工事の人に聞いても、昼間はリフトも動いているし、熊なんて出てくるわけないと一蹴されたけど、気持ち悪いものは気持ち悪い。 

紅葉はとてもキレイで、林の切れ間からは青空を背にした白馬連峰が良く見える。 とてもキレイなコントラストだ。 今までで一番キレイな紅葉かも。 しかし、ずんずん進んで行くうちに、やはり静かすぎるのがちょっと怖い。 道路の端にもいくつか動物の糞が落ちてるし… 明らかに犬じゃない… だってこんなところに野良イヌは来ないでしょ… あの大きさはクマでしょ… 

コーナーを過ぎたところにいたらどうしようとか、遭遇しないように声を出そうとか、そんなことを考えてる時だった。 コーナーを抜けると影が動いた。 ギョッとした。 …けど、一人の登山者が下って来ていた。

「クマ怖くないですか?」

「そんなもん出るわけないだろ 出てきたら食ってやる!」

そんな会話をしながらすれ違う。 でも、相手はカウベルをザックに吊り下げて歩いてるから気分的には楽なのかも… そんなことを考えながら先へと進む。 

道路の上を幾度となくリフトが通過して行く。 この区間はちょっと安心していられるが、そこから遠く道が捲いてくるとちょっと怖い気持ちになる。 そうはいっても、うっそうとした木々は紅葉がとてもキレイだ。 そして、リフト乗り場が見えてくると、ゴールはまもなくだ。 最後の頑張りで到着。

自然園の入口まで行ったが、景色はそんなに… どっちかと言うと途中の道の方が景色は良かった感じがする。 今回は前日までの経験から、上りの途中でも写真を撮りながら走ってきた。 初めての道だし、スタートゴールの位置も分からないし、もう十分に自分の体力の低下は理解できた。 それよりも、楽しく走ろうと思い、景色が良ければ停まって写真を撮り、湧水があれば手を濡らして…と、楽しむことにした。 「あとで、」とか「下りの時に、」と考えていると、下りは速度が出過ぎて停まるどころではない。 上りで気付いても、下りではあっという間に通り過ぎて行く。 ツーリング気分で写真を撮れば、それもまた楽しいことだ。

そんなわけで、ここは写真がたくさん残っている。 なかなかキレイな写真も撮れた。

 

そして、下りは慎重に。 なにせ、事故を起こしても車両の通過は17時を過ぎて仕事帰りまでないだろうし、コースアウトなんかしたら気付いてももらえないだろう。 ましてや、パンクしてるところにクマが現れたら、レーサーシューズじゃ逃げられない! 

遠景近景を楽しみながら下って行く。 晴れは続くが、やや靄がかかってきたか… 山稜がくっきりと見えなくなってきた。 それでも、十分に展望は開けているし、穏やかな日差しが差し込んでいる。 気持ちの良い林間の下り道だ。 そして最後はペンション街を一気に下るとスキー場の駐車場で休憩。 やっぱり下は暖かい。

あとは、車までの白馬サイクリング。 平日だから車は少ないし、適度なアップダウンが繰り返されて気持ち良い。 空は青いし、紅葉や緑の葉はキレイだし、寒くもないし、サイクリングには最適な条件だ。 勝手知ったる白馬の街。 あっちフラフラ、こっちフラフラと昔の記憶をたどりながら、街中を走りまわってみた。

 

車に戻るとレーパンやその他のウェアはすっかりと乾いているし、所帯じみてはいるが天気が良いと洗濯は助かる。 洗濯を取り込み、サラッと乾いたシャツを取り込むと、自転車を積み込んで温泉へ。 洗濯したてのシャツは気持ちが良い。

そして、次の地点に向かって再び移動、そしてビールを飲むと眠ってしまった。

今夜は松本市郊外の道の駅だ、

 

四日目(10月14日)

朝起きるとガスでなにも見えない…

北アルプスも見えなければ、すぐ目の前の道路を走る車さえも見えない。 ライトが心もとなく見えるくらいだ。

「こんな状況じゃ、上に行ったら全身ずぶぬれだろうな〜」

空を恨めしそうに見ても、晴れる気配はない。 天気予報ではそれなりの天気だったはずなのに… でも、一日中此処にいるのも退屈だし、少し移動してみようかと動き出した。 一日中天気が悪ければ、松本の街中で遊んでようかと思ったくらいだ。

国道147号で梓川を渡るころには、激しくワイパーを動かさなければならないほどの濃霧。 もう小雨のような状態だ。 そして、国道254号で松本トンネル有料道路を通過すると、なんとトンネルの向こうは晴れ! これから行こうとする山の上までキレイに見えるじゃないか。 これならも少し早く出とけば良かった… 悔やんでも仕方ないので、スタート予定場所まで進むことにした。

行く先は美鈴湖。 美ケ原ヒルクライムのコースだ。 浅間温泉より上の道は通行止めと言う情報は事前に入手していたので、それを迂回するように美鈴湖まで車で行くことにした。 美鈴湖畔には駐車場はいくらかあるので車を置くにはスタート位置としても問題なしだ。 ただ、標高差はちょっとズルしてしまったので、ここは勘弁…

美鈴湖へ行くと太陽はすっかり高く昇っている。 天気予報は夕方からはまた雨となっているので、早いところ登ってこないと寒くなりそうだ。 雨にでも降られたら厳しいだろう。 手早く準備してスタートする。

美鈴湖を離れるとすぐに急坂がそびえていた。 ペダルのひと踏みが重い。 今までの疲れもあるだろうし、勾配がきついのもあるだろう。 なかなか思うように進まない。 でも、この地点ってヒルクライムレースだと、上り始めてまだ数キロ地点。 温泉街を過ぎてすぐの直登を過ぎてからまたまたこんな急坂。 これはキツイ。 ゆっくりと紅葉や景色を見ながら上ろうと考えていたが、それどころではない。 あまりの急坂に余裕がない。 特に左コーナーのイン側なんて壁のようだ。 大きくセンターライン寄りに走らないと上って行けない。 これはひどい… これまで走ってきた中で一番つらい。

勾配がつらいだけにどんどん高度は上がって行く。 でも、展望がなかなか開けないので実感がない。 ちょっとつまらないコースだ。 ようやく右に松本の街を見下ろす展望が開けた。 とっても高度感がある。 思った以上にガスも晴れて、思った以上にキレイな景色が見える。 う〜ん。気持ち良い。 しばし脚を止めて景色にふけるが、走行距離はまだまだ半分。

その後も、上り坂は緩急取り混ぜながら脚を攻めてくる。 道路わきの木々もクマザサが多くなってきた。 まもなく峠だと思っていると、武石峠。 看板には平仮名で「たけし峠」と書いてある。

これを過ぎると勾配も緩くなり、ピークへと向かって行く。 林を抜けると、目の前にはクマザサの丘と空しか見えない。 見下ろすと遥か下に松本の町が広がっている。 高原に広がるワインディングロードを右に左に上に下にと走る。 丘の向こうにまた丘が見え、その奥には遠く山々が連なっている。 空を飛んでるように気持ち良い。と、思っていたが、尾根を巻いた途端にスゴイ風。 時速50km以上ですっ飛んでる自分にはかなりの横風だ。 油断してると道幅半分くらい流される。 ピークの王ケ頭の電波塔が見える。 あともう少し。 最後の下り、そして上れば頂上の駐車場だ。 ここから先は通行止め。 自転車では行けません。  残念…

駐車場は如何にも風の通り道と言う感じで強風ビュービューだ。 一気に体温が奪われる。 補給もしたいが、それ以上に寒い。 証拠写真を撮るとひとまず下る。 一つ手前のピークだと陽だまりで暖かい。 ここで休憩して補給する。 相変わらず風は強く、雲の動きも早く、電波塔が見えたり隠れたり。 だんだん雲も大きくなってきた。 眼下に見えたはずの松本の街も少し陰ってきた。 予報通り雨に向かっているようだ。 あまりゆっくりしていても仕方ない。 早々に下ることとした。

 

上りでも苦労しただけに、下りはスピードが出るし、コーナーは厳しいし、緊張を伴う下りだった。 なにせ、道路一面に落ち葉が敷き詰められているところもあれば、日陰では夜露で濡れた葉が路面に張り付いているところもある。 高速で自転車を倒しこんで突っ込んだら、そのままスリップしそうだ。 途中、一般車両には1台追いついたが、早々に道を譲ってくれたために、快適に下ることができた。 車に戻るとやっぱり暖かい。 標高差ってこんなに温度が違うんだなと毎回思うけど、ここほど思ったところはなかった。

 

美鈴湖に戻るとポカポカと温かい陽気の中で着替えを済ませた。

お昼は久しぶりに店に入ってそばを食べ、温泉に入るとねぐらを求めて移動した。

 

 

五日目(10月15日)

朝から雨。 天気予報通りの雨だ。

疲れからか雨音にも気付かず、しっかりと眠っていた。 さすがにこの天気では山は無理。 ダラダラと過ごすしかやることはないだろう。

昨日の夕食の買い出しでは、雨天停滞を考えて雑誌も買い込んでいたので、それなりに過ごすことはできた。 松本市内で映画でも見ようかなんて考えもあったけど、見たい映画もないし、いきなり街中に行くのも気がひけたので、雑誌を読みふけった。

午前中はホントに読書、気付くと眠ってる… の繰り返しで過ごした。 雨も小ぶりになったのでちょっと散歩にと、国営アルプスあずみの公園に行ってみた。 ガスは晴れてきたので松本市が見渡せる。 ここでガイドマップを仕入れて次の行動を考えた。 何もしなくても腹は減るもので、ガイドマップを見ながらそば屋で昼食をとると、S氏との集合場所に向かった。

 

S氏との集合場所は望月温泉にある温泉宿。 さっそく温泉に入ると、浴槽から見える紅葉がとてもキレイだ。 お湯も無色透明で気持ちが良い。 そして、浴衣に着替えて身も心も完全にリラックス。 座布団に座ってビールとは、なんて幸せなことだろう。 ビールが次々になくなり、どんどん酔って行く。 夕食は食堂だが、私たち以外に1人だけお客が… 鍋料理を食べながら楽しい夜だ。 しかし、あっという間に酔い潰れ夢の中へ… 

暖かいふかふかの布団は気持ち良い〜

 

 

六日目(10月16日)

朝起きると雨が残っている。 天気予報ではこれから晴れだが、この状況では躊躇するような雨だ。 スタート時間を少し遅らせ、そしてコースを短くすることにした。 車で八千穂駅まで移動し、ここに車を置く。 この頃には雨も止み、問題なく走れそうだ。

国道141に出ると勝手知ったる街を抜け、コンビニに寄ると、国道299を上り始めた。 ツールド八ヶ岳でお馴染の麦草峠への上りだ。 このレースはたしか3回くらい出た記憶がある。 残雪でスキー場がゴールだったこともあったり、最後まで行ったこともあったっけ… でも、スタート位置はどこだったっけ…? と、自分の記憶を頼りにコースを走り始める。

記憶では… たしか最初は勾配も緩くてスピード勝負で、そのあとの10%でふるい落とされて、それからはダラダラ… と言うイメージだった。 そんなことを話しながらS氏と走る。 前日までとは違って今日は完全サイクリング。 「楽しく走ろう」の会なので、気分は最高である。

川沿いの道を走っていると次第に勾配もきつくなる。 民家の前でこんな急こう配になったっけ? ここキツイじゃん! S氏はコンパクトクランクなのでクルクルとギヤを回しながら走るが、自分はそんなの付いてないのでゆるゆるとダンシングしながら走って行く。 さすがに10%ではゆっくりでは脚がもたない… そして勾配が緩くなると再びべらべらとしゃべりながら上って行く。

民家もなくなり、針葉樹林に入って行くと空はすっかりと青空だ。 黄色く色づいた木の間から青い空がキレイに見える。 勾配も比較的緩くなってきたので気分的にも楽だ。 と、ところが、S氏が遅れ始めた。 最近走ってないから… とのことだが、ずんずんと遅れて行く。 そして、私がゆっくりと待ちながら走っていると、急に加速して抜いて行く… こんなことを繰り返し遊びながら走って行く。 途中先行してカメラを構えたり、お互いに写真を撮り合ったりと、サイクリング気分を味わう。 木々に覆われているので風を感じることがなく、木漏れ日がたくさん注いでいるところでは暑いくらいだ。 キツイ坂さえなければ楽しいルンルンサイクリングだ。 

別荘街を抜けると、道路一面に落ち葉が広がり、しかも雨でぬれた状態。 ここをバイクはガシガシと上って行くけど、ここを下るのは勇気がいるな〜と危険を感じながら走る。 太陽も当らないので、ずっとウェットなままだろうな… そう思いながら走る。

駒出池を過ぎたところで休憩。 その昔、ここから双子池に向かってMTBで走って行ったことがあったっけ… つらかったよな〜 なんて昔話をしながら休憩をとる。

そして更に先を進む。 松原湖への分岐まで来ると急に冷えてきた感じだ。 ちょっと寒い。 そして、スキー場の前を通過し、最後の上りへ向かう。 そうそう、この先一旦下って、白駒池の駐車場で渋滞するんだったっけ。 そんな記憶も戻ってきた。 駐車場に入ろうとする車が路上で待つのでちょっとキケンだ。 そこを通過すると最後の登り。 一気にスパートをかけてS氏を引き離す。 国道299号線最高地点 麦草峠に到着だ。 休憩しようとこの先のヒュッテ入口の駐車場まで行ってみたけど、車はいっぱいだし人もいっぱいだし… 休むどころではないので、峠に戻って休憩。

このために持ってきたガスコンロ。 湯を沸かしコーヒーをいれる。 砂糖もクリームもしっかりと入れて飲む。 暖かくてうまい。 おやつを口に頬張りつつ、コーヒーを飲むと会話も弾む。 風もなくちょうど陽だまりで背中もポカポカと温かい。 峠でコーヒーなんて何年振りだろう。 かなり気分が良い。 このままもう少しここにいたい気分だ。 でも、だんだん空腹にもなってきたし、そろそろ下ることにしよう。

当初の予定では、宿を起点に麦草峠を回る周回を考えていたが、雨でスタートが遅れたこともあって八千穂から峠までのの往復とすることにした。 下りは来た道を下るだけ。 上りで路面状況は確認しながら走ってきたので、注意個所は記憶している。 下り始めて少しで松原湖への分岐だ。 気分を変えてこっちを下ってみることにした。 所詮は下りだ。 下り基調だから…と甘い考えで下り始めた。

途中で上り返しはあったが、快適な下りが続く。 途中、濡れ落ち葉地点はあったが、上ってきた道よりは少なかったので助かった。 その分、快適な下りを楽しめた。 展望の良い下りが続く。 下にスキー場が見渡せた。 小海リエックスじゃないか。 忘れもしない、かつてのシマノMTBレースの会場だ。 ちょっと寄ってみようかと言う話になり、さらに下ると懐かしい入口の看板が現れた。

閑散とした秋のスキー場だ。 S氏と昔話をしながら入って行く。 車を止めていた駐車場や、洗車場、トイレ。 皆懐かしい。 オフィシャルブースのあった時計台の脇を抜けゲレンデまで行ってみた。 エンデューロでスタート後に一斉に上り始める坂道。 そしてピットエリア。 自転車を置いて少し歩いてみるとリフトの下にもなんとなくコースの名残がある。 そうそう、仲間がこの地点で初SPDで大転倒して鎖骨を折ったっけ… ここから救急車で搬送されたよな〜 なんて話しながら歩く。 ゲレンデを後にすると、コテージの裏やテニスコートの方に向かってみたが、昔のコースがどのあたりを走っていたか記憶が引き出せない。 この舗装路を上ったけど、この先はどこに入って行ったかな… どうしても思い出せない。 こんな思いを残してリエックスを後にした。

松原湖付近まで下るとだいぶ気温も上がってきた。 振り返ると硫黄岳がそびえ、その麓に紅葉が広がっている。 雄大な景色だ。 そして松原湖を抜け国道に出る。 国道を少し走ると橋を渡って県道に移ると小海駅だ。 昔、良く行った食堂もスーパーも未だに健在のようだ。 国道に出る橋は歩道に代わっており、新たな橋が架けられていたし、街並みも少しキレイになっていた。 

あとは、ダラダラと下り基調の道を走って行けばスタート地点の八千穂駅に到着だ。

 

 

あとがき

我ながらバカな企画を実行したもんだと思う。 毎日坂を上り、下るだけ… あとは温泉に入って適当に眠るだけ。 日本の有名どころのヒルクライムコースを一気に上ってみると言うのは画期的な企画なのかもしれない。 若いころのような体力があれば、余裕もあり過ぎるのでこれじゃ物足りないかもしれないが、今の自分ではこれが精いっぱいだ。 

温故知新。 こんな気分になれた。 昔の自分を振り返り、自分の走りに重ね合わせ、そして今の実力を知らされる。 そして、模索しながら新たな次の目標を考える。 苦しいけど楽しい毎日だった。

ところでギアの設定(53-38×12-23)は無謀だったかも。 若いころにタイムを狙うように走っていた時はこれで良かったのかもしれないけど、今の力ではコンパクトギヤでクルクルと回す方が良いのかもしれない。 乗鞍を1時間13分で走れた時のギア設定で今も走ろうなんて虫が良すぎる。 このギア設定だと常に踏み込んでなければならず、休むことが出来ないからホントに大変だった。 

  
 

朝食

昼食

夕食

ヒルクライム

温泉

宿泊場所(車中泊)
10日           山中湖畔P
11日 パン すき家 惣菜 富士山 乗鞍 湯けむりの湯 乗鞍P
12日 パン パン 惣菜 乗鞍 倉下の湯(白馬) 白馬P
13日 パン 坦々麺セット 惣菜 栂池 白馬八方温泉(第二郷の湯) 道の駅アルプス安曇野ほりがねの里
14日 パン 天ぷらそば(山形村) 惣菜 美ケ原 スカイランド きよみず 道の駅アルプス安曇野ほりがねの里
15日 パン ワサビそば 宿食 (国営アルプスあづみの公園) 望月温泉 宿 青木荘
16日 宿食 峠の釜めし(佐久I.C.前) 自宅 麦草峠    

 

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